本日はウェルスナビの創業に至るまでのストーリーをまとめました。
投資経験者に選ばれているロボアドバイザー「WealthNavi」

財務省キャリアからの転身と苦難
ウェルスナビCEO 柴山和久(しばやま かずひさ)さんは、2000年から10年間勤めていた財務省を辞め、パリ郊外の経営大学院・INSEAD(インシアード)へ留学。
卒業後に日本へ帰国すると再就職活動を始めますが、20社近くも書類選考や面接に落ち続けるという苦難が待ち受けます。
退職時に1000万あった貯金が残り8万円になった頃、ようやくコンサルティングファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーから内定をもらうことができたそうです。
新天地と創業のきっかけ
柴山さんは、マッキンゼーのスタンダード「ノーベル賞理論に基づくアルゴリズムを活用した資産運用」で、10兆円規模の資産を持つウォール街の機関投資家をサポートすることになりました。
クオンツ(金融工学の専門家)とチームを組み、リスクをコントロールしつつリターンを最大化させる資産運用システムを10か月かけて構築したこともあります。
そんな慌ただしい日々の中、クリスマス休暇をもらい奥さんの実家へ帰った時、柴山さんのターニングポイントが訪れます。
奥さんの両親は若い頃から余裕資金をすべて積み立て、世界中の株式や債券に分散投資していたため、この時点でETF(上場投資信託)を中心にバランスの取れた資産が、数億円ほどの規模で運用されていました。
自分の両親と年齢も学歴もそう変わらないはずなのに、老後の資産に10倍の差があることに柴山さんは驚き、それと同時に「世界水準の資産運用ができるサービスが日本にあれば、“10倍の差”は生じなかったのではないか」という考えを抱くことになります。
決意と新たな歩み
マッキンゼーで働き始めて4年目。
世界中から幹部候補を集めた合宿で、柴山さんは仲間たちを前にこう宣言したそうです。
「日本の個人投資家向けに、オンラインのウェルスマネジメント(資産運用)サービスを作る。2020年の東京オリンピックまでに預かり資産を1兆円にする」
柴山さんには、テクノロジーとアルゴリズムを組み合わせれば、一般の人でも世界水準の資産運用ができるようになるという強い確信がありました。
マッキンゼーの日本支社長だったジョルジュ・デヴォーにもこの件を相談すると、「金融の世界でイノベーションを起こすならプログラミングは必須だ」とアドバイスをもらいます。柴山さん自らプログラミングの門をたたくことになった瞬間です。
創業者自らがキーボードを叩く
柴山さんは渋谷のプログラミングスクールで、自らの手で運用サービスのプロトタイプの制作にかかりました。
これまでプログラミングに触れる機会がなかったため、当然エラーの繰り返し。
1時間で直そうと思っていた課題が1日かけても直らないといったことはザラでした。
それでもサポートしてくれる人たちのおかげで、質問に答えるだけで資産運用のシミュレーションのできるサービスを構築。
個人投資家を対象とした資産運用サービスのプロトタイプをひと月で完成させます。
これをベンチャーキャピタルに送ったことがきっかけとなり、金融業やITのプロフェッショナルたちが集まってくることになりました。
このプロトタイプこそウェルスナビの原点であり、この自らキーボードを打つという原体験は、今のウェルスナビの土台となっています。
新たな始まりと強い信念
2015年4月にウェルスナビが創業されると、
2016年7月には「長期・積立・分散」の資産運用を全自動で行うロボアドバイザーサービス「WealthNavi」を一般向けにリリースします。
同じ頃、金融庁からも「リターンの安定した投資を行うには、投資対象のグローバルな分散、投資時期の分散、長期的な保有の3つを組み合わせて活用することが有効である」と表明され、サービスへの追い風が吹きます。
当時の日本の銀行や証券会社にとって、資産運用サービスのメインターゲットは50代以上でしたが、ウェルスナビは「働く世代を豊かにする」ことを目指し、メインユーザーを30〜50代としていました。
簡単な質問に答えるだけで、一人ひとりのポートフォリオが作成され、運用プランを選んで入金するだけで、50ヵ国1万1000銘柄への分散投資が自動で運用される「WealthNavi」。
まさに、日本の働く世代が忙しい日々の中で、「長期・積立・分散」の資産運用を合理的に行うにふさわしい設計です。
また、心理的に慣れない資産運用をサポートするために、少額から資産運用を経験できるツールとして、“おつり”を活用した「マメタス」というサービスをリリース。
マメタスは、暮らしの中でコツコツとおつりを積み立てながら、「長期・積立・分散」の資産運用がどんなものなのか、自然とわかるように設計されています。投資に対する恐怖心を乗り越えるための心理的な側面からも、働く世代を応援してきました。
躍進とさらなる跳躍へ
そうして2017年12月。WealthNaviの預かり資産は400億円を突破することになります。
ウェルスナビはこれまで日本になかった「モノづくりができる金融機関」です。
これは柴山さんの体験をきっかけとして、これまで社で培ってきた風土そのものです。
この風土を活かしながら、WealthNaviを日本における新しい「金融インフラ」として育てていくことが、柴山さんの次なるヴィジョンとなっています。
そのためにも、可能な限りわかりやすいサービスを提供し、一つひとつにの疑問に丁寧に答えていく。
誰もが安心して使える透明性の高いサービスを提供していくために、日々の努力と改善を惜しみません。
水道の蛇口をひねれば当たり前に水が出てくるように、資産作りを考える誰もが使えるインフラになりたい。
WealthNaviでそれをこれから実現していきます。
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